TVのニュースによると、2023年12月1日、北海道の各地で赤いオーロラが見えたそうです。20年に1度くらい、見えるそうです。
なぜ、北海道でオーロラが見えるのか、見えるオーロラはなぜ、いつも赤いのか、そもそもオーロラは、どうやって光るのかを説明します。
追記・・・2024/10/9に大きな太陽フレアが発生したとTVなどで報道されました。過去には磁気嵐の影響でGPS情報が乱れたり、送電システムに影響を与え大停電が発生したこともあるそうです。この時には、10/11未明に北海道各地でオーロラが見えたそうです。ネット上に動画がありました。
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太陽フレアの活動期
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太陽フレアは約11年周期で増減するそうです。2019年が極小期で2024年は発生しやすい時期だそうです。1年位は活発な期間が続くそうですが、2024年11月時点で、まだ、極大期が終了したというメッセージはありません。大きなフレアが発生すると、強いオーロラが発生し、北海道などで、赤いオーロラが見える可能性が高くなります。これを解説します。
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赤いオーロラ
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左は2015年に名寄で撮影された写真です。
星が写っていますが、これが北極星だとすると、見上げる角度は44°です。
右はニュージーランドのテカポで撮影された写真です。(2枚共、ネットから借用しています。)
名寄は北緯44°、テカポは南緯44°で、違う日に撮影された写真です。テカポの写真はオーロラの色の分布がよくわかります。上部は赤いオーロラですが、下の方は白っぽい緑色です。
これはカナダで撮影された写真です。大部分は白っぽい緑色で、これが、一般的なイメージのオーロラです。しかし、よく見ると、上の方は赤く光っています。この赤色は、名寄で見えた赤色と同じ赤です。
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オーロラが光る原理
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太陽から、核融合反応で壊れた原子の一部が、太陽風(有害)となって地球に降り注ぎますが、地磁気がバリヤーとなり、地球の裏側に溜まります。そこで、エネルギーが大きくなり、今度は磁力線に沿って、再突入します。その過程で、窒素や酸素の分子(原子)と衝突し、固有の色を発します。

左図は窒素原子をモデル化したものです。中央の核には、陽子7個と中性子7個、周りに電子が7個います。電子は軌道が決まっており、1番内側には2個、2番目の軌道は8個で満員になります。エネルギーが大きくなって突入した太陽風が、偶発的にこの原子に衝突し、そのエネルギーでどれかの電子をはじき飛ばすと、電子が1個、外側の軌道に移動します。その状態は不安定(励起状態という)なので、一定時間後に元に戻ります。この時、どの軌道からどの軌道かなどにより、軌道のエネルギー差に応じた波長の光を発します。
元の軌道に戻る前に、別の原子に衝突した場合には、エネルギーを失い、発光しません。
どの原子のどの電子をどこに弾き飛ばすかは、多くのパターンがありますが、典型的なものの詳細条件を下表に示します。
宇宙空間といえど、完全な真空ではなく、主として窒素と酸素が支配しています。確率的には、窒素か酸素の原子の挙動がオーロラの色を支配しています。
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の補足説明
酸素の赤は励起状態から復帰するのに100秒必要です。高度が高い位置、例えば700Km辺りでは、分子の密度が極めて小さい(分子がまばら)ので、他の分子に衝突せず、赤い発光が発生しやすく、窒素の青は0.000001秒後には復帰するので、全ての高度でほぼ100%発光します。ただし、高い高度では窒素分子が少なく、ほとんど励起状態にならないそうです。
オーロラは、高度100~800Kmで光っていますが、降り注ぐ太陽風のエネルギーの大きさと、地球の大気の分子の密度により、上記の現象が発生し、固有の色を発します。降り注ぐエネルギーが強い場合は、地表に近い所まで進入してくるので、一般的な白っぽい緑色のオーロラの下部に、赤紫の縁取りのような色がつき、高い高度では、赤いオーロラが発生します。
赤いオーロラ

名寄から北の方向を見た模式図です。オーロラは磁力線上で光っており、水平線の方向より高い位置でも光っており、空気が澄んでいれば、名寄からオーロラが見えます。地球の半径は、約6400Kmです。600Kmより高い位置なら見えそうです。オーロラの写真をよく見れば、カーテンのようなオーロラを透かして星が見えています。つまり、オーロラはそれらの星よりも暗いのです。北海
道の北緯44度以上(名寄より北側)で、水平線近くの高さ、せいぜい見上げる角度20度以下に
星が見えているなら空気は澄んでおり、オーロラはその手前にありますから、強い赤いオーロラは見える可能性があります。
参考情報:宇宙
地球の半径≒6400Km
オーロラの高度を200Kmと考えると、
200÷6400≒0.03ですから、地表に極めて近い場所での現象です。
国際宇宙ステーションは400Km、静止衛星(BSのTV電波などの中継用)は赤道上36000Kmです。
地表では、大気1mL中に3E19(3X10の19乗)個の気体分子がいますが、高度400Kmでも、その1/1E10(1/10の10乗)、30億個の気体分子がいます。
高度36000Kmの人工衛星は、24時間で地球を一周します。つまり、その遠心力と地球との引力(重力加速度)が釣り合います。これを赤道上に打ち上げ、地球の自転方向に飛行させると、あたかも静止しているように見えます。
高度400Kmの国際宇宙ステーションISSは、90分で地球を一周しています。従って、自分の頭上に現れた時には、水平線から逆の水平線迄、45分で移動します。日没直後か夜明直前に、その程度の速度で移動する星を見つけたら、ISSです。スマホ用無料アプリSpace Station Liteでその位置が分かります。
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