ペルセウス座流星群を主体に、流星群の仕組、観察に必要な情報、注意事項などを説明します。
毎年8月12~13日は ペルセウス座流星群 のピークです。晴天なら、12日23:30~翌03:30(04:00頃には、空が明るくなり始める)にかけて、40個/時間前後の流星が見えるはずです。この流星群とは何かを説明します。 |
年間12個前後の流星群がありますが、流星の数が多い4つを紹介します。
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ピークの日は、年により1日程度前後しますから、ネットで確認してください。
流星の数は、最高の条件で裸眼で観察できる数です。通常、前後1~2日は発生します。ペルセウス座流星群は、ピーク日の数日前から発生し始め、ピーク時を過ぎると、急激に発生数が少なくなります。 ※補足(参考情報)・・・目視できる流星の数を増やすには、”眼を暗闇に慣らす”ことが重要です。月は非常に明るく、月齢6~22の月が空にあると、見える星(流星)の数は、ぐっと少なくなります。月の出は、目安として、毎日50分遅くなる。満月(月齢15)の月の出が18:00とすると、月齢21の月の出は、50分×(21-15)=300分(5時間)遅い。つまり、月齢21の月は、18:00の5時間後、23:00まで現れない。月齢と、その月の位置は非常に重要な要素です。 流星群とは・・・
太陽系には、太陽に近い側から、水・金・地・火・木・土・天・海の順に惑星がいます。これらはほぼ同一平面上で周回しています。その他に彗星があります。周期200年以下の多くの彗星は、惑星の周回面と同じ平面状を細長い楕円軌道で周回しています。彗星は通過した跡にチリや砂の粒を残し、これをダストトレイルと言い、一部が、地球の公転軌道と交差しており、地球がこれを横切るとき、”ダスト”が大気圏に突入し、流星になります。これが、決まった方向から飛んでくるので、その背後の星座の名前を付けて、**座流星群と呼びます。 上右図はペルセウス座流星群の場合のイメージです。
地球の半径は、約6400Km、ジェット旅客機の高度は10Km、国際宇宙ステーションの高度は400Kmですから、地上に非常に近い現象です。 惑星はなぜ楕円軌道か
彗星の軌道 彗星の軌道も、楕円、放物線、双曲線があり、放物線と双曲線のものは太陽系外に去ります。ダストトレイルが地球の公転軌道と交差していると、彗星本体が地球と衝突する可能性があるのでしょうね。 おまけの話 楕円とは・・・2点からの距離の合計が一定の点の軌跡 放物線とは・・・斜め前方に投げた物体が描く軌跡 双曲線とは・・・2点からの距離の差が一定の点の軌跡・・・神戸のポートタワーを遠くから眺めた時に側面に現れる曲線 楕円軌道以外は、一度通った場所に戻ってきません。 小惑星が大気圏に突入することが分かった時に、落下場所を予測して、それ(隕石)を見つけたというルポ番組がNHKで放送された事がありました。 1910年には、ハレー彗星の尾の中を地球が通過したらしい。 彗星の種類 短周期彗星(便宜上)・・・公転周期200年未満 特徴・・・大部分が、惑星と同じ黄道面に沿って、惑星と同じ向きに公転 長周期彗星(便宜上)・・・公転周期200年以上 特徴・・・軌道や公転方向に規則性がない エッジワース・カイパーベルト
オールトの雲
楕円軌道について・・・ 楕円の描き方の一つの方法
楕円軌道上の速度
従って、太陽からの遠地点では速度が遅く、近地点では速い速度で周回しています。 流星群を見るには 流星群は、その名前がついている星座を中心として、放射状に流れます。従って、その星座が昇ってくる時間帯を知る必要があります。
左図は8月13日(ペルセウス座流星群がピークの日)の02:00の近畿地方の星空です。ペルセウス座は23:00頃、東の空に昇り始めました。 流星の出現数 流星は人の目に見えなくても、電波として捉えられます。2019年の情報ですが、ペルセウス座流星群の予想最大出現数は100個/Hrでした。その内、40個前後が、肉眼で見える可能性があったそうです。 流星の明るさと出現数 一般論として、ペルセウス座流星群では、3等星に相当する明るさの流星の数は、2等星に相当する明るさの流星の数の、2.7倍です。つまり、3等星が見える夜空では、 2等星以上しか見えない夜空の(1+2.7)=3.7倍の数の流星が見えます。 肉眼でみえる星の明るさは6等星どまりです。全天の星は1等星以上が21個、2等星が67個、3等星が190個、4等星が710個、5等星が2000個、6等星が5600個ほどです。半分は地球の裏側です。 全体の40%が見えていると考えると、 全2等星が見える空の星の数は、(21+67)X0.4= 35個 全3等星が見えると、(21+67+190)X0.4= 111個 全4等星が見えると、(21+67+190+710)X0.4= 395個 です。 3等星か4等星が見えないと、満足する数の流星は見えません。流星群を見ようとしている夜空を見上げ、今、何個位の星が見えているかを考えましょう。100個以上見えていると、全3等星が見えています。400個近く見えていれば、全4等星が見えています。街灯がない真っ暗闇の場所を探しましょう。暗闇に目を慣らしても、デジカメの背面の画面やスマホを点灯させると凡人の目に戻ります。画面にカバーをするか、赤色のセロファンかガラス(樹脂)で覆いましょう。 ・・・百均で赤色の下敷(赤色と緑色の下敷で、赤色の文字が読めたり消したりできる)を購入し、適当な大きさに切れば、カバーができる。・・・ ペルセウス座流星群の流星の数は、最近少なくなり、多分、ふたご座流星群の規模が最大になったと思います。12月ですから、日本海側より太平洋側の方が観測条件がいいだろうと思います。 月は信じがたいくらい明るく、月が出ている時は、観察には不向きです。これも、Stella Sheater Liteで分かります。 スマホ(私のはAndroid)のアプリ(フリーソフト)に、「星座盤」というのがあり、空に向けると、向けた方向の星空が表示されます。これらは、それなりに便利です。 オマケの話=流星群観察に適した場所 ・残念ですが、我々が住んでいる市街地では、驚くような数の流星群は見えません。 ・街の灯りなどがなく、空気が澄んでおり、湿度が低い場所が望ましい。 ・海岸から遠く、内陸部が望ましい。(湿度が低い) ・山や台地の頂上が望ましい。山の中腹は上昇気流で雲が沸きやすく除外。 オマケの話=流星群の観察に適した宿 ・王ケ頭ホテル(松本市美ヶ原)/2000m ・高峰温泉(小諸)/2000m・・・街の灯りがない ・高峰高原ホテル(小諸)/2000m・・・小諸市の街の灯りが邪魔になる ・八ヶ岳グレースホテル(野辺山)/1370m ・しらびそ高原ホテル天の川(長野県飯田)/1900m ・休暇村乗鞍高原(松本市)/1600m ・星ふるビレッジtengu(高知県津野町)/1400m 手軽に行ける山小屋などもありますが、深夜に屋外で星空観賞できるかどうか分からず、候補外にしています。 例えば、ペルセウス座流星群だと、23:00を過ぎてから、暗闇に行き、空を見上げねばならない。休暇村乗鞍高原の場合だと、玄関を出て50m歩けば、真っ暗闇の場所はあるが、無心で夜空を見上げている姿勢は、クマが出てきても無防備で、怖くて行けません。 23:00過ぎにホテルの玄関から出入りできるかどうかも確認が必要。休暇村乗鞍高原、星ふるビレッジtenguは出入り可能を確認済。 ほとんどの流星群のピークは真夜中です。屋外での観察を諦めて、流星群が見える方向に窓があるホテルの部屋を捜して、明るい流星が見えたらラッキーでトライすることを奨めます。 補足・・・周期200年以下の彗星は、ほとんが、惑星が周回しているのと同じ平面上を周回しており、ダストトレイルも、その周回軌道近辺にあります。従って、流星群の放射点は、惑星が周回している平面近くにあります。自宅の近くで流星群を見るなら、日頃から、火星や木星などが夜空のどの位置を移動しているかを認識しておきましょう。月の移動面は、それとは異なりますが、少しずれているだけで、目安にはなります。知らない土地に行っても、事前にそれを確認しましょう。非常にラッキーに夜空が澄み渡り、400個以上の星が見えたら、多分、カシオペア座もオリオン座も星に埋もれてしまって、見つけられません。 スマホのアプリには、方位計(東西南北を示す磁石)もあります。インストールしておきましょう。 番外編 流星群の話ではありませんが、近い現象なので紹介します。 2024年10月初旬に、紫金山アトラス彗星が日没直後に見えるかもしれないということがありました。結論から言って、天気が悪くて見えなかったのですが、ネットや新聞から得た情報を紹介します。 名前 紫金山・・・中国の天文台の名前です。ここが最初にこの彗星を見つけました。 アトラス・・・南アフリカ共和国の小惑星地球衝突最終警報システムの略だそうです。地球への衝突物体がないかを監視しているのです。それが、この彗星を見つけたなんて、感激しました。 このシステムが太陽に近づく物体を見つけ、検討した結果、紫金山天文台が見つけていた物体と同一だとわかり、両方の名前が付いたそうです。 私の記憶では、最初、周期が何万年かの楕円軌道と発表され、最終的には(多分、太陽の向こう側を通過後)双曲線軌道で、太陽系外に去ってゆくと発表されました。上記で説明した”オールトの雲”からやってきたそうです。本体の大きさは、直径が数キロメーターから数十キロメーターで、彗星としては小さい方だということです。惑星が周回している軌道面ではなかったので、ダストトレイルを地球が横切ることはなく、流星群にはならないようです。 このページの先頭に戻る ここをクリック 元のページの先頭に戻る ここをクリック |